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ダイハツがトヨタやマツダ向けにバンやトラックを作っていた

ダイハツのグランマックスの型式認定取消が話題になっています。

そもそもグランマックスってどんなクルマ?なぜトヨタのタウンエースやマツダのボンゴも形式指定取消になるの?という疑問についてまとめました。

グランマックス、タウンエース、ボンゴバンの画像(引用 各メーカーサイトより)
ボンネット中央のエンブレムでしか見分けられません。

ダイハツ グランマックス

トヨタ タウンエース

マツダ ボンゴバン

ダイハツのグランマックスが型式認定取消へ

グランマックス(Gran Max)は、ダイハツ工業とトヨタ自動車が共同開発した小型商用車です。バンとトラックがあり、日本国内で販売されている唯一の最大積載量1t未満の小型トラックです。

グランマックスは、インドネシアを中心に海外で活躍しており、さまざまな環境下で鍛えられています。新開発エンジンと最新の安全装備を備えています。

グランマックスの全長は4295mm、全幅は1675mm、車両重量は1160~1230kg、排気量は1496cc、ドア数は2です。750kgの積載量を誇ります。

2024年1月16日、国土交通省はダイハツ工業が自動車の認証試験で不正をしていた問題で、グランマックスなど3車種の「型式指定」を取り消す方針を表明しました。

トヨタ・タウンエースやマツダ・ボンゴも対象になる理由

ダイハツ・グランマックスが認定取消になることで、親会社のトヨタ・タウンエースやマツダ・ボンゴの3車種が同時に型式指定を取り消すと発表されました。

もともとダイハツが作ったクルマをトヨタやマツダが名前を変えて売っていたことから、3車種が対象になりました。

生産と販売が異なることを「OEM生産」といいますが、自動車業界には昔から現在までいろいろなメーカーで行われている生産方法です。

今回のダイハツが初めてというわけではありません。

ダイハツのグランマックスだけが処分されるというものでなく、生産がダイハツで販売が別メーカーであっても、当然、取消しの対象になるというわけです。

認定取消でユーザーは困らないのか?

形式指定取消で、あらためて申請して認可を受けるまでダイハツは生産ができなくなりますが、過去に生産された車を購入したユーザーに影響はないのでしょうか。

法的には購入者がそのまま乗っても問題はないので、生産できなダイハツが困るだけのようですが果たしてそうなのでしょうか。

ドイツが誇る信頼の車であるフォルクスワーゲンも不正を行ったことがありました。当時、フォルクスワーゲン車は販売した車を買取るという行動に出て社会的責任と信用の回復に好影響をもたらしました。

今回、安全関係の認定も満足していない可能性があり、この車種のユーザーに対するメーカーの対応や、過去の事故とこれからの事故に対する保険会社の対応など、関心が深まります。

商業車種であることから一般ユーザーへのインパクトは少ないかも知れませんが、これが乗用車種となると話は違うでしょう。

ダイハツロッキーとトヨタライズとの図式そのもの

ダイハツ工業は2023年5月19日、「ロッキー」とトヨタ自動車にOEM(相手先ブランドによる生産)供給する「ライズ」のハイブリッド車(HV)で、ポール側面衝突試験(UN-R135)に関する認証手続きで不正行為が判明したと発表しました。

対象台数は2021年11月以降に販売した計7万8440台。 同日付けで出荷・販売を停止ししました。

このインパクトが強烈で、乗用車ユーザーに印象に残りました。

今回のグランマックスの取消しは、商業トラック無しには営業できない業界にとってボディブローのように効いてくると考えられます。

形式認定取消しは国内メーカーでは2社目

形式指定取消しは国内では前例があります。それは2022年の日野自動車の事件です。日野自動車はエンジンの型式指定の取消しでした。同形のエンジンを積む車は生産がストップし、取締役含む4人の役員が辞任しました。

ダイハツの商用車グランマックスとは?

今回型式指定取消しを受けたダイハツのグランマックスが誕生したのは2020年6月です。
しかし、ダイハツのマークをつけたこの商用車が街を走っていても、人々は気づかなかったことでしょう。

なぜなら、すでにトヨタやマツダで同じ車が販売されていたからです。新型グランマックスはトヨタ タウンエースの本家本元とは言え、ニューフェースではありませんでした。

なぜダイハツが登録車に手を出したのか

ダイハツと言えば軽自動車メーカーです。親会社がトヨタということもあり登録者(軽自動車ではない車のこと)は販売していませんでした。

ダイハツ製のトヨタのタウンエースは、2008年には発売されていました。グランマックス発売の12年も前から街を走っていたことになります。

12年間指を咥えて我慢していたダイハツが自社ブランドで発売した背景とは何だったのでしょうか。

軽自動車からの脱却

ダイハツの販売店には軽トラックや軽ワゴンのユーザーがいます。このようなお客は、もっと大きな荷物を積みたいとか、たくさん積みたいという潜在的なニーズがありましたが、ダイハツのラインナップは軽自動車の規格止まりのため、ニーズに応じることができませんでした。

ダイハツは他の自動車メーカーに流れるお客さんを引き止めるために、自社生産しているグランマックスを自社で販売したわけです。

グランマックスが軽自動車に勝る点とは

グランマックスは、軽自動車よりは大きいですが、全長4mという商用車としては小ぶりであることからハイエースよりは小さく、小さめの商用車が欲しいというユーザーのニーズに応えられるものでした。

当時、ダイハツはグランマックスの特長を3点あげていました。

  • 軽商用車よりもゆとりのある積載力と使い勝手の良さ
  • 様々な環境下でも頼れる高い走行性能と安全性能
  • グローバルに活躍してきた商用車ならではの高い品質

これを見ると、グランマックスは軽自動車よりひと回り大きく、なおかつハイエースなどと比べると小型で扱いやすい商用車であることがわかります。

しかもエンジンも大きいので力もあるほか、軽の商用車にはない安全装置もついている。さらに、2008年からトヨタに供給していることで、その使い勝手の良さには定評があるというものでした。

マツダのボンゴバンとボンゴトラック

マツダのボンゴバンとボンゴトラックの場合は、トヨタのタウンエースとはちょっと事情が異なります。

トヨタはタウンエースを初めから生産せずにダイハツからの供給を受けていました。

マツダは社内でボンゴバン、ボンゴトラックを生産していましたが、コストが合わないために、ダイハツからの供給を受けて、これまでと同じボンゴバンとボンゴトラックとして販売しました。

これにより、マツダは商用車の自社生産から完全撤退し、乗用車に集中することになりました。

オリジナルのボンゴは1966年に登場し、初代から当時現行の4代目までで累計210万台以上を生産しました。

マツダは、2020年の小型貨物自動車新燃費基準などの規制強化への対応を断念し、商用車開発・生産の撤退を決めました。

なぜグランマックスなのか

頻繁にモデルチェンジを繰り返す乗用車よりも、長いスパンで利益を取れる商用車はある意味、自動車の製造分野、営業分野ともにドル箱なのかも知れません。開発コストはかかっても元が取れる分野だと推測します。

しかし、ダイハツは、2020年の小型貨物自動車新燃費基準などの規制強化を初めとして安全基準が厳しくなることから、商用車に対しても不正を行ってしまったのでしょう。

社会的には知名度の低いグランマックスという車とタウンエース、ボンゴトラック等の認定取消しがどのような影響を受けるのか、今後の展開から目が離せません。

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